この記事を読んでいる人は50代の人、もしくは今30代、40代の人で50代にはセミリタイアしたい人だと思います。
このような理由でセミリタイアをしたいのではないでしょうか。
50代でセミリタイアできれば、人生の約半分を仕事以外に使えるということです。 大変魅力的な生き方ですよね。
しかし、
- 50歳で早期リタイアするにはいくら必要なの?
- 55歳では?60歳では?
- いくら必要かはどうやれば計算できるの?
- 毎月いくら貯蓄すればいいの?
- セミリタイヤも検討してみようかな
と考えている人も多いと思います。
そこで本記事では、50歳から60歳でセミリタイアするにはいくら必要なのかについて解説いたします。
早期リタイアとセミリタイアの違いとは
セミリタイアと早期リタイアの違いは、退職後も働くかどうかと、必要な資金の多さにあります。
セミリタイアは、一定の収入を得ながら生活するため、早期リタイアよりも資金が少なくて済みます。しかし、セミリタイアは、仕事を完全にやめないため、早期リタイアほど自由ではありません。
どちらを選ぶかは、自分の価値観や目標によって異なります。
セミリタイアとは
セミリタイアとは、定年を待たずに本業から引退し、少額の収入を得ながら自由に生活することです。
セミリタイアをする人は、パートやフリーランスなど、自分のペースで働くことができます。セミリタイアのメリットは、自分の時間を自由に使えることや、仕事のストレスが減ることです。
セミリタイアの注意点は、老後資金の準備や保障の確保、社会的信用の低下などです。
早期リタイアとは
早期リタイアとは、定年前に完全に仕事を辞めることです。
早期リタイアをする人は、退職金や貯蓄、投資などで生活費を賄います。早期リタイアのメリットは、仕事に縛られないことや、自分の好きなことに没頭できることです。
早期リタイアの注意点は、十分な資金の確保や、生きがいの喪失などです。
早期リタイアとセミリタイアの違い
セミリタイアと早期リタイアの違いは、退職後も働くかどうかと、必要な資金の多さにあります。セミリタイアは、一定の収入を得ながら生活するため、早期リタイアよりも資金が少なくて済みます。しかし、セミリタイアは、仕事を完全にやめないため、早期リタイアほど自由ではありません。どちらを選ぶかは、自分の価値観や目標によって異なります。
まとめると以下のようになります。
早期リタイアやセミリタイアについての詳細は以下の記事をご覧ください。
一般的な支出でいくら必要か計算。50歳、55歳、60歳
まず結論から発表するとこのようになります。
リタイア年齢 | 月0万円収入 | 月10万円収入 | 月20万円収入 |
50歳 | 6900万円 | 5100万円 | 3300万円 |
55歳 | 4800万円 | 3600万円 | 2400万円 |
60歳 | 2700万円 | 2100万円 | 1500万円 |
前提条件1:生活費の計算
生活費は夫婦2人家族を想定して、65歳までは住宅ローンの支払いがあるものとして月30万円。66歳以降は月25万円、90歳以降は老後施設を利用して25万円としました。
年齢 | 生活費 |
~65歳 | 月30万円 |
66歳~ | 月25万円 |
年金や税金も考える
早期リタイアやセミリタイアの後は、年金や税金も部分で支払う必要があります。
早期リタイアやセミリタイアの後は、国民年金を自分で納めます。 年金額は、2022年4月時点で月16590円なので、夫婦で月33180円です。
住民税、所得税も自分で納めることになります。
早期リタイアやセミリタイアの後は、年収が減るので、それほど高くはありませんが、 月1~2万円は見ておきましょう。 住民税、所得税の他に、固定資産税、自動車税なども納める必要があります。
トータルで月5万円くらいは必要になります。
前提条件2:年金受給額を知る
早期リタイア・セミリタイアで1番怖いのが、長生きのリスクです。そのための保険が年金です。
早期リタイアやセミリタイアの後でも、長生きすると年金がもらえます。 そのため、シミュレーションでは年金も考慮する必要があります。
会社員の場合、年金は国民年金と厚生年金の両方を納めているので、 もらうときも、両方をもらうことができます。
しかし、リタイアやFIREをすると、会社員をやめるため厚生年金を納める必要が無くなります。
厚生年金は納めている期間が長いほど、受け取れる額も増えるため、 リタイアやFIREをすると、厚生年金の受給額は減ります。
リタイアやFIREをする年齢が早いほど、受け取れる年金が少なくなることを覚えておきましょう。
年金受給額の平均
令和2年の年金受給額の平均は、以下の通りです。
定年まで会社員なら毎月25万円くらいの年金がもらえるということです。
しかし、今後は受給額が減っていくことが考えられます。多少少なめに見積もっておいた方が良いでしょう。
早期リタイア・セミリタイアした場合の年金受給額
それでは、リタイアやFIREした場合の年金受給額を計算してみましょう。
実際には、会社員時代の年収によって年金受給額が変わりますが、 今回は、先ほどの平均値を使います。また、年収は生涯変わらなかったものとして、 年金受給額が、単純に勤続年数に比例するものとします。
20歳から会社員をし、65歳まで年金を払い続けたとして計算すると以下の通りです。
リタイア年齢 | 会社員だった年数 | 年金受給額(月額) | 年金受給額(年額) |
---|---|---|---|
65歳 | 45年 | 25.0万円 | 300万円 |
60歳 | 40年 | 23.4万円 | 281万円 |
55歳 | 35年 | 21.9万円 | 263万円 |
50歳 | 30年 | 20.3万円 | 244万円 |
45歳 | 25年 | 18.8万円 | 225万円 |
40歳 | 20年 | 17.2万円 | 206万円 |
35歳 | 15年 | 15.7万円 | 188万円 |
30歳 | 10年 | 14.1万円 | 169万円 |
25歳 | 5年 | 12.6万円 | 151万円 |
20歳 | 0年 | 11.0万円 | 132万円 |
このようにリタイアした年齢が早いほど年金受給額は減ります。
引退後月25万円で生活するには、1年間で300万円必要です。早期リタイアすると年金受給額は減るので、繰り下げ受給をしましょう。71歳から年金を受け取れば受給額が1.5倍になります。
そうすれば、50歳で引退しても、71歳からは年金だけで360万円ほどもらえるので、暮らしていけそうです。
年金生活を確実にするなら、75歳まで繰り下げてもよいでしょう。そうすれば、受給額が1.84倍になります。50歳でリタイアしても年間450万円ほど貰えるので、現役時代並みの生活ができます。
それでは具体的な金額を見ていきましょう。
50歳で早期リタイア・セミリタイアした場合
50歳でリタイアした場合、65歳での年金受給額は現行のままだと244万円程度です。今後1割くらい価値がめべりすると仮定して220万円とします。
引退後月25万円で生活するには、1年間で300万円必要ですので、年金受給後に年金だけで生活するには、最低でも69歳まで受給を繰り下げる必要があります。
余裕を見て70歳で受給を開始すると仮定すると、50歳から70歳までの20年間を資産で生活する計算になります。
そのため、50歳で早期リタイアした場合に必要が金額は以下の通りです。
15年間×12カ月×30万円+5年間×12カ月×25万円=6900万円
もしリタイア後の月10万円、または20万円の収入を得られるセミリタイアをした場合は以下の通りです。
月10万円の収入なら 15年間×12カ月×20万円+5年間×12カ月×25万円=5100万円
月20万円の収入なら 15年間×12カ月×10万円+5年間×12カ月×25万円=3300万円
55歳で早期リタイアした場合
50歳でリタイアした場合、65歳での年金受給額は現行のままだと263万円程度です。今後1割くらい価値がめべりすると仮定して235万円とします。
引退後月25万円で生活するには、1年間で300万円必要ですので、年金受給後に年金だけで生活するには、最低でも68歳6か月まで受給を繰り下げる必要があります。
余裕を見て69歳で受給を開始すると仮定すると、55歳から69歳までの14年間を資産で生活する計算になります。
そのため、55歳で早期リタイアした場合に必要が金額は以下の通りです。
10年間×12カ月×30万円+4年間×12カ月×25万円=4800万円
もしリタイア後の月10万円、または20万円の収入を得られるセミリタイアをした場合は以下の通りです。
月10万円の収入なら 10年間×12カ月×20万円+4年間×12カ月×25万円=3600万円
月20万円の収入なら 10年間×12カ月×10万円+4年間×12カ月×25万円=2400万円
60歳で早期リタイアした場合
60歳でリタイアした場合、65歳での年金受給額は現行のままだと281万円程度です。今後1割くらい価値がめべりすると仮定して250万円とします。
引退後月25万円で生活するには、1年間で300万円必要ですので、年金受給後に年金だけで生活するには、最低でも67歳6か月まで受給を繰り下げる必要があります。
余裕を見て68歳で受給を開始すると仮定すると、60歳から68歳までの8年間を資産で生活する計算になります。
そのため、60歳で早期リタイアした場合に必要が金額は以下の通りです。
5年間×12カ月×30万円+3年間×12カ月×25万円=2700万円
もしリタイア後の月10万円、または20万円の収入を得られるセミリタイアをした場合は以下の通りです。
月10万円の収入なら 5年間×12カ月×20万円+3年間×12カ月×25万円=2100万円
月20万円の収入なら 5年間×12カ月×10万円+3年間×12カ月×25万円=1500万円
早期リタイア・セミリタイア後の生活が大事
早期リタイアやセミリタイアの計算では、 早期リタイア後にどのような生活を送りたいかで大きく変わります。
50歳の早期リタイアでいくら必要かシミュレーション
上記の例では毎月30万円~25万円の支出で考えましたが、 田舎暮らしで20万円あれば暮らしていける人もいます。 毎日遊びたいから50万円必要という人もいるでしょう。 元気なうちはお金を使い、老後は質素に暮らすという選択もあります。
ここでは仮に、毎月の支出を20万円、30万円、 50万円にしたときに早期リタイアにいくら必要かを計算した結果が下表の通りです。 今回は50歳でリタイアした場合を考えます。
支出20万円は50歳でリタイアして67歳から、支出30万円は73歳、支出50万円は75歳から年金を受け取ります。ただし、支出50万円だと75歳から受け取っても、毎年200万円あまり足りません。そのため、長生きするだけ資産が必要です。
今回は仮に90歳までこの生活で生きるとして計算しました。
月の支出 | 必要な資産 |
20万円 | 4080万円 |
30万円 | 8280万円 |
50万円 | 1億8000万円 |
この結果からも分かる通り、支出を減らすことが早期リタイアへの近道です。 支出を30%減らせば、必要な資産は半分以下になります。
毎月いくら貯蓄すれば早期リタイアできるのか
今30歳で50歳に早期リタイアしたい場合は、20年間(240か月)あります。
早期リタイア後毎月20万円の暮らしをしたいなら4,080万円÷240か月=毎月17万円の貯蓄が必要です。 30万円の暮らしがしたいなら、34.5万円もの貯蓄が必要になります。毎月50万円なら75万円です。
毎月17万円であれば、可能かもしれませんが、 毎月30万円以上を貯蓄するのは厳しいのではないでしょうか。 毎月35万円を貯蓄して、30万円を生活費で使う生活だとすると、 手取りで65万円は必要なので、年収は900万円は必要です。
今40歳であれば、期間は半分の10年間になるので、毎月の貯蓄額は2倍必要になります。
この計算の通り、早期リタイアというのは、20代、30代からコツコツ貯蓄してきて、 やっと毎月20万円から30万円くらいの生活ができるというものです。
退職金があるので、もう少しハードルが下がるという人もいると思います。しかし、早期リタイア後もそれなりの生活を維持したいのであれば、 手取りの半分以上は貯蓄に回す覚悟が必要です。
50歳のセミリタイアでいくら必要かシミュレーション
早期リタイアの必要資産が分かると、自分には無理と諦めてしまうかもしれません。 しかし、早期リタイアが無理でもセミリタイアなら可能性があります。
例えば、65歳まで生活費の半分を副業やアルバイトで稼ぐとします。 セミリタイアにいくら必要か計算すると、下表のようになります。
月の支出 | 必要な資産 |
20万円 | 2280万円 |
30万円 | 5580万円 |
50万円 | 1億3500万円 |
このくらいの金額であれば、希望が見えてくるかもしれません。
これでも難しそうなら、資産運用も考慮したサイド FIREを検討してみましょう。サイド FIREであれば、これよりも少ない額でセミリタイアができます。サイド FIREは私が最もおすすめする方法です。
まとめ:セミリタイアが現実的
今回は、50歳から60歳で早期リタイア・セミリタイアするにはにはいくら必要かを紹介してきました。
早期リタイアやセミリタイアするには、支出と資産のバランスが重要です。支出が多いと億単位の資産が必要になり、実現できるのは一握りの人になるでしょう。
支出を減らしてセミリタイアをする方法が現実的です。なお、セミリタイアでは資産運用をしないことが前提となっていますが、これからの時代、資産のすべてを円で持っているのはかなりのリスクです。
インフレにより価値が目減りしていくことが予想されるので、インフレに強い資産にも投資することをおすすめします。例えば、金や不動産、株などです。
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