セミリタイアやサイドFIREしたいけど、いくらあればできるのか知りたい。 そんな方はシミュレーションしてみることをおすすめします。
でも具体的にどんなシミュレーションが必要か、わからない人も多いと思います。
シミュレーションの手順は意外と簡単です。 リタイア後の生活費を計算するだけです。
そこで今回は、セミリタイアやサイドFIREするのにいくら必要かをシミュレーションする方法を紹介していきます。
この記事を読むことで、リタイアまでの目標が具体的にイメージできるようになるので、 漠然とリタイアを目指すより、早くリタイアできるようになります。
もしかすると、すでにサイドFIREを達成できているかもしれませんよ! ぜひ一度シミュレーションしてみましょう!!
セミリタイアやサイドFIREのシミュレーション方法
セミリタイアやサイドFIREするためには、リタイアする前(働いて資産を増やす時期)と、 リタイアした後(働くことを少なくして、趣味を満喫する時期)の二つの期間を分けて考える必要があります。
リタイア前は、いかに資産を増やしてサイドFIREをするか、 リタイア後は、いかに資産を減らさずに過ごすかを中心に考えます。
シミュレーションの順番としては、まず始めにリタイア後の生活を考えます。 その後、リタイアまでの資産形成をシミュレーションします。
それでは実際にシミュレーションのやり方を見ていきましょう。なお、シミュレーション方法より先に結果を知りたい方は、先に以下の関連記事をご覧ください。
サイドFIRE後の生活をシミュレーション
サイドFIRE後のシミュレーションとは、サイドFIREをした後にどのくらいの生活費で、 そのくらい仕事をすれば資産を減らさずに生活できるかを計算することです。
サイドFIREを達成するためには、サイドFIRE後に、投資の収入+労働収入>支出 が成り立たなければなりません。
そのためには、投資の収入、労働収入、支出をシミュレーションする必要があります。 それぞれについてシミュレーションしていきます。 そのためには、具体的に下記についてシミュレーションします。
この結果、どのくらいの投資資金があればサイドFIREできるかがわかります。
サイドFIRE後のシミュレーション1:
サイドFIRE後の支出はどのくらいか
最初に、自分でコントロールしやすい支出についてシミュレーションします。
現状より減らすことも増やすこともできる
現在の支出をそのままサイドFIRE後の支出にしても良いですし、 サイドFIRE後は生活スタイルを変えて支出を減らしても良いです。 自由な時間が増えるので、趣味にお金を使って支出が増えると計算することも可能です。
とはいえ、支出を抑えることは、サイドFIREへの近道です。 節約については、「セミリタイアを早めるには節約生活!固定費と節税が大事!」 の記事もご覧ください。
田舎暮らしで節約することも可能
サイドFIRE後は、バリバリ働く必要がないので、必ずしも仕事場が近い都会で暮らさなければいけない わけではありません。場合によっては、田舎暮らしも選択肢の一つになります。 私は生活費を下げるという観点から、田舎暮らしはサイドFIREと相性が良いと考えています。
都会暮らしと田舎暮らしの違いをシミュレーションした結果は 「セミリタイアには田舎暮らしが近道!資産半分でもリタイア可能!」 で見ることができます。 田舎暮らしなら都会の55%の資産でサイドFIREできますよ。
サイドFIRE後のシミュレーション2:
サイドFIRE後にどのくらい稼ぐか
次に、予想がつきやすい労働収入についてシミュレーションします。
月に1人20万円程度であれば、副業の延長で十分稼ぐことができますし、 現状の半分や、生活費の半分といった金額でも良いと思います。
サイドFIREをするからには、現状の不満に思っていることをしなくて良い働き方を選択するのがおすすめです。 やりたいこと、やりたくないことをリストアップして、 それにあった仕事からおおよその収入をシミュレーションするのも良いと思います。 副業であれば、複数やってみて成功したものを続ける方法もあります。
副業については 「月10万円。サイドFIREで副業に迷ったらコレを試そう。副業10選+α。」 もご覧ください。
サイドFIRE後のシミュレーション3:
投資の利回りはどのくらい見込めるか
投資の収入は投資金額と投資利回りから計算します。
投資金額は手順4で決めますので、最初は投資利回りをシミュレーションします。
FIREの本番アメリカでは4%ルールという考え方がよく知られています。 4%はアメリカの有名なインデックスに投資した場合に、インフレや税金を加味しても、 このくらいなら平均的に達成できるであろう数値です。
この4%を使っても良いですし、物価上昇を考えず7%くらいでシミュレーションしても良いです。 不動産投資メインで運用を考えているのであれば、5%くらいかもしれません。
ご自分の投資スタイルに合わせてシミュレーションしてください。
サイドFIRE後のシミュレーション4:
年金がいくらもらえるか計算する
最後に、仕事ができなくなって年金をもらうようになったときのことを考えましょう。
年金でもらえる額が働いている時の収入と同じであれば、年金生活でもそれまでと同じ生活ができます。ただし、リタイアが早い人は年金受給額が減っています。そのため、生活に十分な額ではない可能性があります。
年金受給額を増やすためには、受給年齢を繰り上げることも考えてみましょう。2022年現在では、120ヶ月(5年)繰り上げると、受給額が84%もアップします。一生涯アップするので、検討しましょう。
なお夫婦二人の場合、老後生活は現役時代の70%くらいの支出でも生活している人が多いようです。ローンや教育費がなくなるためです。そのため、無理に現役時代を同じ収入を得る必要はありません。
生活費が70%になった場合、仮に生活費の半分を資産運用でまかなっていたら、年金で得られる収入は、労働収入の40%で生活できるということになります。
これなら、サイドFIREした多くの人が自動的に達成できるのではないでしょうか。年金生活になってからは、資産を多少切り崩していっても良いと考えれば、意外と余裕があります。
心配な人は、受給開始年齢で調整しましょう。
年金生活のことを考える
- 受給年齢を繰り上げれば、最大84%UP
- 生活費を70%にすれば、年金は労働収入の40%でも生活できる
サイドFIRE後のシミュレーション5:
投資資金はいくら必要か
シミュレーション手順1~3をシミュレーションすると投資資金がわかります。 投資資金が分るということは、どのくらいの資金があれば、サイドFIREできるかがわかります。
サイドFIREするには投資の収入+労働収入>支出である必要があります。
つまり、投資金額×利回り+労働収入>支出です。
よって、投資金額>(支出ー労働収入)÷利回りとなれば良いわけです。
シミュレーション結果例1
支出が月30万円(年360万円)、労働収入が夫婦で月10万ずつで20万円(240万円)、利回りが4%であれば、 投資金額>(360万円ー180万円)÷0.04=3000万円あればサイドFIRE達成です。
目標が明確になることで、サイドFIREが身近になったと思います。
もしシミュレーション結果で、こんなに貯められないと思う金額が出た場合、計画を見直す必要があります。 シミュレーション1からやり直しましょう。
年利4%の場合と7%の場合
支出と労働収入から投資金額を計算できる早見表を下に載せましたので参考にしてください。
運用利回りは4%と7%です。
月10万円収入を増やすか、支出を減らすと、投資金額が3000万円も減りますよ。
支出→ ↓労働収入 | 240 | 360 | 480 |
---|---|---|---|
0 | 6000 | 9000 | 12000 |
120 | 3000 | 6000 | 9000 |
240 | 0 | 3000 | 6000 |
360 | 0 | 0 | 3000 |
支出→ ↓労働収入 | 240 | 360 | 480 |
---|---|---|---|
0 | 3429 | 5143 | 6858 |
120 | 1715 | 3429 | 5143 |
240 | 0 | 1715 | 3429 |
360 | 0 | 0 | 1715 |
資産3000万円でサイドFIREができるかを詳しくシミュレーションした結果は以下の記事をご覧ください。
セミリタイア後の生活をシミュレーション
セミリタイアの場合は、サイドFIREと違い資産運用を積極的には行いません。 そのため、シミュレーション3から5がサイドFIREと異なります。
セミリタイア後のシミュレーション3:
資産運用は安全な国債がメイン
セミリタイアの場合は積極的に投資を行いませんが、比較的安全が高い国債は保有しておきましょう。
米国債なら定期預金と同じ感覚で、1~3%程度の利回りが得られます。計算上は、安全をみて利回り1%で計算しましょう。
サイドFIRE後のシミュレーション4:
年金がいくらもらえるか計算する
セミリタイアの場合は、サイドFIREとは違い年金の計算もしっかり行う必要があります。なぜなら、セミリタイアすると、年金の支払いが少なくなるので、受給金額もするなくなるからです。よって、年金だけでは生活ができないと予想されるので、年金生活後も資産を取り崩しながら生活しなければいけません。
年金受給額は、セミリタイアした年齢によって変わってきます。また、セミリタイア前の年収によっても変わってくるので、しっかりと計算しましょう。
年金受給額が生活費より多い場合は、年金生活以降の資金繰りは計算しなくてもかまいません。
セミリタイア後のシミュレーション5:
どのくらいの資産が必要か計算
セミリタイアで必要な資金は、以下の式で計算できます。
セミリタイアに必要な資金=生涯の支出―生涯の労働収入―資産運用の収入―生涯の年金受給額
生涯の労働収入と資産運用の収入は計算である程度求めることができます。しかし、生涯支出と生涯の年金受給額は、何歳まで生きるかによって変わってくるので、不確実です。安心して暮らすためにも、100歳や120歳くらいにしておくと良いでしょう。
どうやって貯めるかをシミュレーション
サイドFIRE後のシミュレーションやセミリタイア前のシミュレーションで、 どのくらいの資産があればリタイアできるかが分かりました。 あとは、その資産をどうやって築くかです。
サイドFIREするためには、
投資金額+投資しない資産>現在の資産+これから増やす資産
でなくてはなりません。
また、セミリタイアでは、
リタイア額+予備費>現在の資産+これから増やす資産 となります。
そのためには、現在の資金、これから増やす資産、投資しない資金をシミュレーションする必要があります。 それぞれについてシミュレーションしていきます。 そのためには、具体的に下記についてシミュレーションします。
シミュレーション6:
現在の貯蓄、資産はいくらある
セミリタイアやサイドFIREのスタート地点である今、 どのくらいの資産があるのか確認することはとても重要です。
持ち家はリタイア後に貸し出さないのであれば、資産に入れる必要はありません。 保険や財形に貯まっている資産で、リタイア後に解約できる物であれば入れましょう。 すでに不動産や株などの投資をしている場合は、現在の価値を計算して入れます。
シミュレーション7:
投資しない資金や予備費を計算
サイドFIREの場合、投資に回さない資金は、お金を産みませんので投資金額から外します。 セミリタイアの場合も予備費として、不測の事態に備えましょう。
サラリーマンなどの安定した収入があれば生活費の3ヶ月から半年分、 フリーランスや自営業であれば生活費の1年から3年分の資金があれば、不足の事態に対応できると言われています。 リタイア後は、サラリーマンを続けることは少ないと思いますので、生活費の1年分を見ておきましょう。
不足の事態とは、病気や怪我、事故などで働けなくなった時に資産を切り崩す必要があります。 その時は、貯蓄から切り崩すのが賢明です。 もし株などの投資資産を切り崩すとなると、以下のような問題が発生する可能性があるので注意しましょう。
例1:株式投資をしている場合
例えば年始に2000万円の資産があって、全額投資に回していた場合、年末には2200万円になったとします。
同じく年始に2000万円あって、全額投資に回していたのですが、ある時200万円の出費が必要になったとします。 しかしその時にちょうど株価の大暴落が起きていて資産が1000万円になっていたとします。 しかし200万円の出費が必要なので、200万円を切り崩します。資産は800万円になってしまいますが、 年末までに株価は戻り年始の1.1倍になりました。この時の資産はというと、1760万円です。
途中で200万円しか切り崩していないのに、年末の結果は440万円も違ってくる場合があります。
このように投資しているお金を予定外に切り崩す時に暴落のタイミングが重なると、大きな損を出してしまう可能性があります。
例2:不動産投資をしている場合
資産の全てを不動産投資に回している場合、急な出費で手元に資金がなくなると、 不動産を売却するか、借金をするしかなくなります。 借金をするとなると、消費者金融から不動産の利回りより高い金利を取られます。 不動産を売却するにも時間がかかるためすぐには現金が調達できません。
このように不動産の流通性の低さが裏目に出てしまう場合があります。
シミュレーション8:
これからどのくらい資産を増やさなければいけないか
シミュレーション4~6によって、これからどのくらいの資産を増やさなければいけないかがわかります。
サイドFIREの場合、
これから増やす資産>投資金額+投資しない資産ー現在の資産
セミリタイアの場合、
これから増やす資産>リタイア額+予備費ー現在の資産
です。
サイドFIREの場合、例えば投資金額が3000万円、投資しない資産が400万円、現在の資産が1400万円であれば、
これから増やす資産>3000万円+400万円ー1400万円=2000万円
となります。
よって、これから2000万円増やせばサイドFIREできるということになります。
いくら増やす必要があるか
- サイドFIREの場合、投資金額3000万、投資しない資産400万円、現在の資産1400万円なら、2000万円増やす必要がある
- セミリタイアの場合、リタイア額3000万、予備費400万円、現在の資産1400万円なら、2000万円増やす必要がある
どうやって増やすのか
シミュレーション8で計算された「これから増やす資産」をどのように築くかというと、メインは労働収入になります。
投資で増やすことを考えるかもしれませんが、リタイア前は投資できる資産が少ないため、 期間を短縮できるほどの効果はありません。
たとえば、労働収入だけで毎年200万円を貯蓄できた場合、2000万円貯めるのに10年かかります。 投資で4%の利回りがあっても、10年が9年か8年になる程度です。
資産の増え方については貯蓄率を参考にしてください。 資産が少ないときに資産運用しても、ほとんど資産が増えないことがわかります。
そこで重要になるのが、入金力です。 すぐに入金力を上げるには、副業が手っ取り早いと思います。
副業は、サイドFIRE後の収入源にもなるので、早く始めた方が有利になります。 上手くいけば、本業より稼げるかもしれません。
おすすめの副業については 「月10万円。サイドFIREで副業に迷ったらコレを試そう。副業10選+α。」
の記事をご覧ください。
シミュレーションの落とし穴
ここまでシミュレーション方法を解説してきましたが、シミュレーションも万能ではありません。 落とし穴にはまらないように注意しましょう。
最後に、シミュレーションの落とし穴について紹介します。
シミュレーションの落とし穴1:資産目標を都合よく調整できる
シミュレーションでは、生活費やサイドFIRE後の月収、利回りを決めますが、 自分で好きに決めることができるため、自分の都合のいいように変更してしまいがちです。
例えば、資産3000万円じゃないとサイドFIREできない結果になった時、 3000万円だと後15年かかる。 そんなに待てないから2000万円にならないかな。 生活費を5万円削って、月々5万円多く働くことにしよう。 といったように変更してしまいます。
変更したプランを実行できるのであれば問題ありませんが、目標資産に気を取られ、 ギリギリのシミュレーションをしてしまっては不測の事態に備えられません。
少し余裕を持ったシミュレーションくらいがちょうど良いと心がけましょう。
シミュレーションの落とし穴2:年4%の運用が安定して得られるわけではない
シミュレーションでは、年利4%で資産運用することを前提としています。
今までの数十年の実績からS&P500などの米国ETFに投資しているだけで、 年利4%は十分確保できているのですが、今後の10年、20年がたまたま成績が悪く年利4%を下回る可能性があります。 また、1年単位で見た場合、マイナスになることもあり得ます。
そのようなことを考慮せずにサイドFIREしてしまうと、途中で資産が足りなくなってしまう可能性があります。
サイドFIREするなら、投資の知識や経験を十分に身につけて、柔軟に対応できるようになってからにしましょう。
シミュレーションの落とし穴2:急な出費に対応できない
シミュレーションでは資産の全額を投資に回して計算していますが、 資産の全額を投資に回している場合、急な出費に対応すると大損する場合があります。 そうならないためにも、生活費の1年分くらいは現金で確保しておくことをおすすめします。
例1:株式投資をしている場合
例えば年始に2000万円の資産があって、全額投資に回していた場合、年末には2200万円になったとします。
同じく年始に2000万円あって、全額投資に回していたのですが、ある時200万円の出費が必要になったとします。 しかしその時にちょうど株価の大暴落が起きていて資産が1000万円になっていたとします。 しかし200万円の出費が必要なので、200万円を切り崩します。資産は800万円になってしまいますが、 年末までに株価は戻り年始の1.1倍になりました。この時の資産はというと、1760万円です。
途中で200万円しか切り崩していないのに、年末の結果は440万円も違ってくる場合があります。
このように投資しているお金を予定外に切り崩す時に暴落のタイミングが重なると、大きな損を出してしまう可能性があります。
例2:不動産投資をしている場合
資産の全てを不動産投資に回している場合、急な出費で手元に資金がなくなると、 不動産を売却するか、借金をするしかなくなります。 借金をするとなると、消費者金融から不動産の利回りより高い金利を取られます。 不動産を売却するにも時間がかかるためすぐには現金が調達できません。
このように不動産の流通性の低さが裏目に出てしまう場合があります。
シミュレーションの落とし穴4:生活が変わると計算が狂う
シミュレーション当時の生活費を一生続けていける人はいないでしょう。 結婚、出産、家賃、教育費、医療費に介護費など、年齢を重ねるごとに変化があるものもありますし、 インフレが起きて物価が上昇することもあるでしょう。
節約が上手になり生活費が減れば生活は楽になりますが、生活費が増えてしまっては資産がどんどん減っていきます。 減らさないためには仕事を増やして日銭を稼がなくてはいけなくなります。
サイドFIREしていると、正社員の時より時給は下がっているでしょうから、 収入を増やすためには仕事をする時間をより増やさなければいけなくなります。
まとめ:サイドFIREが一番現実的
今回はセミリタイアやサイドFIREするための資金のシミュレーション方法を解説しました。
シミュレーションによって、どの数値を動かすとリタイアに近づくのかがわかります。
サイドFIREを目指している人には、さまざまな理由があります。 その理由を崩してまでサイドFIREをするのは意味がないと思いますが、 妥協できるところは妥協して、少しづつ自分の理想のサイドFIREに近づいていければ最高だと思います。
決してサイドFIREまでが地獄でサイドFIREがゴールではありません。 サイドFIREをするまでの過程も楽しみながら、人生を過ごせたら最高ですね。
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